サヨリヤドリムシ
【エラヌシ属】
Mothocya parvostis Bruce, 1986
日本でよく見られるウオノエ類の一つ。標準和名の通り、主にサヨリを宿主とし、同一個体の片側の鰓にメスが、反対側の鰓にオスが寄生する。メスは成長すると鰓蓋の縁辺に沿うように体軸が曲がる。Bruce (1986)によって日本からエラヌシ属が2種(M. sajori、M. parvostis)同時に記載され、長年、M. sajoriにはサヨリヤドリムシ、M. parvostisにはブリエラヌシの標準和名が与えられてきた。しかし近年、Fujita et al. (2023)によってM. sajoriがM. parvostisの異名とされ、一方の標準和名はサヨリヤドリムシが採用されたため、学名と標準和名が交差していることに注意が必要。なお、M. parvostisのホロタイプはサヨリではなく、養殖ブリ幼魚から得られた個体である。
【分布】日本
【宿主】主にサヨリ。養殖魚(ブリやメジナ)の幼魚からの報告もある。
Bruce, N. L. (1986). Revision of the isopod crustacean genus Mothocya Costa, in Hope, 1851 (Cymothoidae: Flabellifera), parasitic on marine fishes. Journal of Natural History, 20(5), 1089-1192.
Fujita, H., Aneesh, P. T., Kawai, K., Kitamura, S. I., Shimomura, M., Umino, T., & Ohtsuka, S. (2023). Redescription and molecular characterization of Mothocya parvostis Bruce, 1986 (Crustacea: Isopoda: Cymothoidae) parasitic on Japanese halfbeak, Hyporhamphus sajori (Temminck & Schlegel, 1846)(Hemiramphidae) with Mothocya sajori Bruce, 1986 placed into synonymy. Zootaxa, 5277(2), 259-286.
魚種や寄生部位、色は有用な情報ですが、それだけではウオノエ類の正確な種同定(種を特定すること)はできません。成長によって形も変化しますので、掲載写真との絵合わせも参考程度としてください。
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